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JOURNAL
WATARU HATANO

FROM SOIL TO PAPER, FROM DARKNESS TO LIGHT,
TIME TAKES FORM THROUGH THE HANDS.

白間ロゴ白

作品と静かに対峙する、

豊かな時間。

美しいものは、

​こころの琴線に触れる。

01|Land
​|紙が生まれる場所を、訪ねて

京都府綾部市。

山と川、田畑のあいだに、
ハタノワタルの暮らしと工房がある。

都市から離れたこの土地で、
紙を漉き、作品をつくり、自然と共に暮らす。

作品の背景にあるのは、
特別につくられた風景ではない。

日々、目にしている山の緑。
季節によって変わる光。
雨の匂い。
土の湿り。

その日々の営みそのものが、
ハタノワタルの作品と、
その生き方へと静かにつながっている。

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流れる季節に

想いを馳せる。

02|Between
|植物と紙のあいだ。

冬に刈り取られた楮は、
まず蒸され、まだ温かいうちに皮を剥がされる。

剥いだ皮を乾かし、水に晒し、
外側の黒い皮を削り落とす。

煮て、洗い、
小さな塵をひとつずつ取り除き、
繊維を叩いて、ようやく紙を漉く準備が整う。

一枚の和紙になるまでに、
いくつもの手仕事と、長い時間がある。

機械に置き換えるのではなく、
人の手と目で素材の状態を確かめながら進めていく。

黒谷で800年以上受け継がれてきたのは、
紙そのものだけではない。

植物を紙へ変えていく、
その手の記憶でもある。

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03|Kurotani
​| 800年続く、紙の里。

京都府綾部市、黒谷。

山々に囲まれ、その谷間を黒谷川が流れる。

平地が少なく、冬は厳しい。

農業には決して恵まれた土地ではなかった一方、
豊かな水と山の自然は、紙をつくる場所として人々の暮らしを支えてきた。

その始まりは、およそ800年前。

この地にたどり着いた平家の人々が、

やがてここに暮らしを築き、紙を漉き始めたと伝えられている。

以来、紙漉きは特別な仕事ではなく、
この土地の日々の営みとして受け継がれてきた。

人から人へ。手から手へ。

それでも、その手の記憶は、
一枚の紙の中に残っている。

04|Paper
|​紙の記憶。

紙を乾かす。

それは、風だけを纏う時間ではない。

 

風を纏い、時間を纏い、深みを増す。

乾いていく。その時間さえ、

紙の一部になる。

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05|With Nature
​|豊かな自然との共生。

春に芽吹いた楮は、夏の光と雨を受け、

冬までに2〜3mほどに育つ。

そのあいだ、人は畑に入り、
草を刈り、芽をかき、成長を見守る。

紙づくりは、工房の中だけで完結する仕事ではない。

土があり、水があり、
光があり、季節がある。

人の手ができるのは、

その営みに静かに寄り添うこと。

自然と人。

紙は工場から突然生まれるものでない。

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06|Seasons
|めぐる季節。生まれる紙。

楮は、一年で育つ。

春に芽を出し、
夏に大きく伸び、
秋を越え、葉を落とした冬に刈り取られる。

そして残された株から、
翌春、再び新しい芽が出る。

育てて、刈り取って、また育てる。

紙づくりの時間は、
季節の循環とともにある。

一枚の紙を見つめることは、
一年の歴史を見ることでもあるのかもしれない。

JOURNAL

07|Beginning
​|場所の記憶。始まりの場所。

白間ができる、遡ること3年前。

私は自分のスタジオを移転改修していた頃、一枚の写真が目に留まった。

 

古い梁と、土の壁。

静かな光の中に、掛け軸の作品が掛けられていた。

その佇まいに惹かれ、スタジオの空間に作品をつくっていただきたいと、はじめてハタノさんにご連絡した。

それが、始まりだった。

そして、時間を経て、写真の中で見ていた場所に、

自分が立っている。

作品の記憶と、場所の記憶。

離れていた二つの時間が、静かにつながったような気がした。

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風が通り、光が移ろい、 季節が過ぎていく。

芽吹き、育ち、やがて土へ還り、 また新しい季節がはじまる。

自然は、立ち止まることなく巡っている。

私たちもまた、 その巡りの中で生きている。

The wind passes through, and the light shifts.

The seasons move on.

Life sprouts, grows, and eventually returns to the earth,

only for a new season to begin again.

Nature moves endlessly through its cycles.

And we, too,
live within that rhythm.

水が流れ、草木が育ち、土が潤う。

人は自然から受け取り、手を加え、また、その流れの中へ還していく。

豊かさとは、たくさん持つことではなく、
巡るものの中に生きることなのかもしれない。

自然とともに生きる。

その営みの中に、暮らしの源泉がある。

​​

Water flows, plants grow, and the earth is nourished.

We receive from nature, shape what it gives us, and return it once again to its flow.

Perhaps richness is not about how much we possess,
but about living within the cycles that surround us.

To live with nature.

Within that way of life lies the source of true abundance.

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08|Atelier
|創作の場所

アトリエの扉を開けると、

時間の流れが少しだけ変わる。

素材の匂い。 やわらかな光。

静かに置かれたものたち。

新しいものと、古いもの。

 

誰かの手を離れたものと、 これから誰かの手へ渡っていくもの。

 

ここでは、 誰かが大切にしてきた時間が、

次の誰かへ手渡されていくように感じた。

09|Layers
​|重ねた先に、生まれるもの。

一枚の和紙に、また一枚の和紙を重ねる。

手で触れ、形を確かめながら、
少しずつ表情をつくっていく。

重なるのは、紙だけではない。

手を動かした時間。
そのときの感覚。
偶然生まれた揺らぎ。

一つひとつの痕跡が重なり、
やがて、ひとつの作品になっていく。

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一枚の紙にどれだけの時間を重ねられるだろう。

触れる。待つ。また、触れる。

手の跡を残しながら、 紙は少しずつ、紙ではない何かへと変わっていく。

つくるということは、形を与えることではなく、まだそこにないものが現れるまで、静かに待つことなのかもしれない。

How much time can be layered into a single sheet of paper?

Touch. Wait. Touch again.

As traces of the hand remain, the paper slowly becomes something beyond paper.

Perhaps to create is not to impose a form,
but to wait quietly
until something that was not there before begins to emerge.

JOURNAL

10|Humanity
​|重ねた先に、生まれるもの。

何を美しいと思い、
何を大切にし、
どんなふうに人と向き合うのか。

 

つくるものには、
その人の生き方が、
どこかに滲む。

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触れ、削り、重ね、

手を動かすたびに、
形のないものに、形が生まれていく。

土にも、紙にも、

はじめから答えはない。

何を見るか。
何を感じるか。
そして、何を生み出すか。

すべては、つくる人の手に委ねられている。

ひとつの手から、
まだ見たことのない宇宙が生まれる。

​​​

Touch, carve, layer.

With every movement of the hand,
form begins to emerge from the formless.

Neither earth nor paper
holds an answer from the beginning.

What do we see?
What do we feel?
And what do we create?

Everything is entrusted to the hands of the maker.

From a single pair of hands,
a universe never seen before can emerge.

11|Material
|素材の共鳴

落ち葉が何層にも積もった地面。
そこに、時間によって生まれた異なる形や色を見る。

それは、作品の『The accumulation of time』の着想の源泉でもある。

和紙に土や顔料を重ね、さらにその上へ、幾層にも塗り重ねていくことで深みや凹凸が生まれ、さらに土が乾くことでひび割れなどの予期しない表情が現れる。

均一に整えるのではなく、その違いを残していく。

ざらつき。ひび。繊維。色の濃淡。

​和紙に素材を幾層にも重ねていく行為もまた、単なる物理的な積層だけではなく、時間と想いの堆積と読むことができる。

和紙、土、顔料などを幾層にも重ね、長い月日をかけて積み重なってきたものの美しさ。

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在るということ。

光が満ち、やがて翳る。

時が移ろうほどに、見えなかったものが現れる。

語らず。求めず。ただ、そこに在る。

静けさは、存在を深くする。

To Be.

Light fills the room, then slowly fades into shadow.

As time passes, what was unseen begins to reveal itself.

Without speaking. Without asking.
Simply, it is there.

Stillness deepens presence.

12|Reveal
|​光によって変わる表情。

紙も、土も、
一定の表情を持たない。

朝の光。曇りの日の光。夕暮れの光。

光の角度が変われば、
繊維や凹凸がつくる影も変わる。

同じ作品でありながら、
見る時間によって違って見える。

作品は完成した瞬間に止まるものではない。

置かれた場所の光とともに、
その表情を変え続けている。

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13|Wataru
       Hatano
​|和紙から、未来を開く。

1971年 兵庫県淡路島生まれ。

1995年 多摩美術大学絵画科油画専攻卒業。
1997年 黒谷和紙研修生。
2000年 黒谷和紙漉き師として独立。
2007年 京もの認定工芸師。
2018年 紙漉キハタノ設立。

工芸のフィールドを中心に活動。

和紙を使った空間をデザイン、施工を行う。

また国内外で展覧会を重ね、和紙の魅力を伝えると同時にアート活動も並行して行う。

|Art Works at Haku_ma
|光と闇の間にあるもの

ハタノワタルは、闇に創造の原点を感じるという。

見えないから、見る。わからないから、想像する。

すべてが明るく照らされた場所では、目に映るものが世界のほとんどを占める。

けれど闇の中では、見えないものへ意識が向かう。

そこに何があるのか。何がいるのか。

かつての日本人は、闇の中に怖れと同時に、何かに守られているような感覚を抱いていたのではないかとハタノは考える。

闇は、光の不在ではない。

月の光が美しく見えるのは、

そのまわりに闇があるから。

真っ暗な廊下に射し込む、わずかな月明かり。

それは時として、闇の中では一本の柱のように現れる。

光は闇の中に置かれたとき、はじめてその輪郭を現す。

闇と光。黒と白。

そのどちらかではなく、その「あいだ」にあるもの。

『白間』という名の空間に、ハタノワタルの「闇」が在る。

 

白の中に闇があるからこそ、闇はより深くなり、
わずかな光は、より鮮明になる。

闇を消すのではなく、闇とともに過ごしてみる。

そこに生まれる想像の余白までを、この作品は静かに宿している。

この部屋に泊まる夜は、少しだけ、光を落としてみてほしい。

作品の発する問いかけや世界の想いの片鱗に心を没入させてほしい。

その奥に広がる世界へ、心を委ねるひとときとなることを

願ってやまない。

August 2026 / Haku_ma

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WATARU HATANO

|The accumulation of time

2024Washi, soil, pigments & acrylic on wood panel with washi
605mm×665mm

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WATARU HATANO

|A view from the window

2025|Pigments,
soil & acrylic on washi
600mm×970mm

hakuma_wataru hatano のコピー.jpg

Haku_ma / 白間

〒920-0035

石川県金沢市中橋町1-10

〒920-0035

1-10 Nakabashi Kanazawa Ishikawa JAPAN

5 minutes on foot to Kanazawa Station

金沢駅まで徒歩5分

Approx. 2.5 hours from Tokyo via the Hokuriku Shinkansen
Approx. 2–2.5 hours from Kyoto and Osaka by train

東京から北陸新幹線で約2時間30分

京都・大阪から電車で約2〜2時間30分

5minutes by car to Omicho Market

近江町市場まで車で5分

13 minutes by car to D.T. Suzuki Museum

鈴木大拙館まで車で5分

11 minutes by car to 21st Century Museum of Contemporary Art

21世紀美術館まで車で5分

8 minutes by car to Higashi Chaya District

東茶屋街まで車で5分

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